7人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
美しい舞姫だった。
絶世の美女だった。
すらりと立つ細い身体。
朱いサリーを巻いた
優美にくびれた腰を、
艶やかにくねらせ、舞う人だ。
まとめた髪を覆う布も同じ朱で、
回るたび花弁のように、
翻る、ひるがえる。
シャンシャンと鳴る金細工の、
耳飾り、首飾り、腕飾り。
甘い視線を投げながら、
その人は近づいてきた。
――ポストマニーと、もうします
やがて微笑み、彼女は名乗る。
すらりと雲水の静かな背に回り、
ポストマニーは手をかざす。
雲水の双眼に。暗くなる視界。
鼻腔を満たすは花の香。
ポストマニーは、最後に告げた。
――マールカンデーヤ大聖仙がおまちです
最初のコメントを投稿しよう!