第一話 不凋花の恋

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――ひさかたぶりの おきゃくさま   うれしい かぎりで ございます 白の布を 軽やかに 日の 照り映える 小麦畑の 輝きのごとき その肌に、 巻いた 豊かな 黒髪の、 うら若き 乙女。 長い まつげは ナルキッソスの 花に にて、 華やかに まぶしく、 その 奥の 夜空の ひとみが こぼれぬように 守っていた。 優美な 手には 星の竪琴(たてごと)。 かき鳴らすたび あふるるは夢。 時は もどり。 場所は うつり。 あたたかな風 潮の香り、 オリーブの枝が うららな手を 天へと伸ばし、 熟れたブドウが 酒の川へと 流るる(ところ)。 またたくうちに あたりは。 青き 海に 浮かぶ 緑豊かな 島へと――。
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