灰色の冷たい街

11/11
前へ
/16ページ
次へ
* * *  それからの少女は靴屋を後にして、灰色でしかない街中を歩み始めた。  未だ履いたばかりの新しい革靴だが、不思議と彼女の足に馴染んできているらしい。これからの旅路で更に慣らしていこうと、少女は弾む様に歩いた。  街の道中で少女はふと立ち止まる。  これから(・・・・)の事で少し迷いがあったからだ。少年の為を思ってまた諦めて次の旅へ旅立つのか、自分の信念を貫いて欲しいもの(のぞむもの)を手にするのか。  迷うくらいなら、やらずに後悔するより良い。答えは心で先に浮かんだ方で、直感で、彼女は選択する。 「……余計な事は」  きっとする事になるだろうと。  何故なら彼女は輝くモノが好きで、故にそれを追い求める──旅人なのだから。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加