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もっと割のいいバイトはないかと思っていたときに、たまたま大学生協の掲示板に貼られたばかりの求人票を見つけた。
── 家庭教師募集。当方、小学五年生男子。一回二時間、週二回。曜日応相談。男子学生を希望。時給三千円、交通費支給。くわしくは生協まで ──
時給三千円? これなら、今やっている居酒屋のバイトを減らして時間が作れる。
ほかのが学生に見つかる前にと、すぐに生協のカウンターに申し込みに行き、その日のうちに先方の家で面接を受けることになる。 そしてお母さんの麻子さんと会い、その場で採用が決まった。
「先生、お替わりは?」
「いえ、もう十分いただきました。ご馳走様でした」
今日も慶太君のお母さんである麻子さんの手料理をご馳走になった。麻子さんは美人で明るく、そして料理上手だ。
今夜のメニューは海老フライのポテトサラダ添え、ポタージュスープ、ほうれん草の胡麻和えだった。
家庭教師なのに、こんな賄いまで付いて、最高のバイトだ。けれども……。
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