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「わ! コメントだ!」
学校からの帰り道、理央と早織とも別れたあとでスマートフォンで覗いたサイトのマイページ。
メッセージ着信を知らせる赤いマークが点灯していた。タップして見た「○○さんからコメントが来ています」の文字に、穂香は胸の高鳴りが抑えられない。
作品への反応そのものは、もうそこまで珍しくなくなっていた。しかしコメントもらうのは実は初めてなのだ。ドキドキしながら開いたコメント欄には──。
『なんか程度低いね。女子高生のお遊びならこんなもの?』
「……」
スマートフォンを持つ手が小刻みに震え出す。
佳織が忠告してくれたのは、こういうことなのか……?
穂香も自分の『小説』が、他の人たちに比べて大したものではないくらい認識している。きちんと整った小説を読み慣れている人にとっては、それこそ「女子高生のお遊び」と受け取られても仕方ないのかもしれない。
──だったらこのコメントは、中傷なんかじゃなくて真実を伝えてくれてるんじゃない……?
これで「小説家になりたい」とほざくこと自体、無謀だとしか思えなくなって来た。穂香の小説なんて程度の低い、読むに耐えないどうしようもないものなのだろうか。
それ以上何も考えられずに、穂香はサイトを閉じてスマートフォンを鞄に仕舞った。
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