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《穂香ちゃん、これあんまりだから! すぐにコメ削除してブロックして!》  帰る途中では動揺しそうで、穂香は家に着いて自分の部屋で佳織に簡単にまとめた事情を送信した。数分後に返って来たメッセージ。 《あ、でも。》 《いいんでしょうか?》  穂香はもう、何もかもに自信がない。削除にブロックなどして、いい気になっていると思われたら……。 《本当に親切心で「伸びて欲しい、良くなって欲しい」って思いがあるのなら、絶対にこんな言葉選ばない! 読み専の私にだってそれくらいわかるわ。》 《言い方とか伝え方もちゃんとしてない人なんか、いちいち相手せずに無視していいのよ。》  すぐに返って来た文字を読んだ途端、耐え切れず涙が零れた。 《ありがとうございます。ホントに。今、ブロックしました。》  佳織のアドバイスに従って機械的に操作したあと、お礼と報告のメッセージを作成して送信ボタンを押す。 《それでいい。あと、放置すると「ここはこういうのオッケーなんだ」って荒れるもとになったりするって。『割れ窓理論』に近いのかも。》  まったく別の観点からの指摘にも、彼女の存在の大きさを身に染みて感じた。
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