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《ねえ、穂香ちゃん。最初読ませてもらった時にも言ったけど、穂香ちゃんの小説って私はいいと思うよ。》 《早織の友達だからヨイショとかじゃなくて。そりゃ、未熟って言えばまあそうだとは思うんだけど。》  またすぐに、ポンと浮かぶ次の文章。 《でも、「若さ」ってすごい武器だって私が交流してもらってるずっと年上の書き手さんもよく話してるんだよね。今の穂香ちゃんにしか書けないもの、きっとあるから。嫌でも年は取ってくんだし、未熟でも青くても、の感性を大事にしようよ。》 《なんて、書けもしないのに偉そうに説教しちゃってごめんね。》  佳織が綴ってくれた文字を、穂香は最初から最後まで何度も繰り返し目でなぞった。まだ乾いていない瞳から、さらに涙が溢れて来る。 《とんでもないです! 嬉しいです。あたし佳織さんに聞いてもらえなかったら、もう怖くて何も書けなくなってたかも。》  偉そうだのお節介だの、まったく感じなかった。心から、穂香は佳織に感謝している。  ──あたしはまた、書ける。気遣ってくれる友達、そして何よりこの人のおかげで。もうそれだけでいい。
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