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    ◇  ◇  ◇ 《穂香ちゃん、コンテスト出してみない?》  また少しずつ新作の執筆に戻っていた穂香に、佳織からの意外な言葉。    コンテストが開催されてるのは知っていた。ただ、まだまだ自分には無縁だと視界に入れることもなかっただけだ。   ──出してみようかな。落ちて当たり前、挑戦することに意義がある、ってとこから。    きっと穂香はいま、力を蓄える時期なのだ。そう思って充電しつつ行動も起こして行こう。    嬉しいことも、傷ついた経験も、すべてが創作の糧になると信じることしかできなかった。  今は我楽多にしか思えないものが、もしかしたら夢の(いしずえ)になるかもしれない。  意識的に、無意識のうちに、拾い集めた何かの欠片(カケラ)を繋ぎ合わせたら綺麗なものが出来上がる。  限りなくゼロに近くとも、可能性がないとは誰にも言い切れない。    そして、たとえ結果が出なくても、努力したことは必ず身になるはずだから。  十年後、二十年後、……もっと先の未来でも。その時文章など書いていなかったとしても。  穂香が「十六歳の今、小説家を夢見ていた事実」は、きっと永遠に色褪せない。                                 ~END~
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