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「そうだ、もしかしたら──」
「……さっすが特進は余裕あるぅ。小説だって! お勉強できる人は違うんだ〜」
何か言い掛けた早織が、すぐ傍のグループのひそひそ話に唐突に口を噤んだ。
「ちょっと!」
「いいよ、ほっといて」
顔色を変えて立ち上がろうとした理央を、穂香は慌てて肩に手を掛けて止める。
まさか聞こえていたなんて、と言いた気に隣のテーブルの彼女たちがバツが悪そうに俯いたのも目に入ってしまった。
聞こえよがしの嫌味だとばかり捉えていたが違うのか。せめて周りに人のいない場で思う存分やればいいのに。
「穂香、気にしちゃダメだよ」
「してないよ。あんなの全然平気」
小声で慰めてくれる早織に本心から答えた穂香に、二人は一応安心したようだ。
理央と沙織は、わざとらしく椅子の音を立てて隣のテーブルに背を向けるように斜めに座り直していた。
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