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「……あ! さっきの話。私のお姉ちゃん、ゲームもだけど小説も好きなんだ。ネット小説とかよく読んでる。感想もらえるか訊いてあげよっか?」 「迷惑じゃなかったらすごくありがたい、けど。いっぱい読んでる人には、あたしの小説なんてレベル低すぎてくだらないと思われちゃうかも」  早織の提案に、穂香は今更腰が引けてしまう。  この二人のようにに気心の知れた親友ならともかく、その姉など穂香にとっては実質「知らない人」に過ぎない。  向こうも妹の友人には駄目出しをするにしても余計な気を遣うのではないか、と考えたのもあった。  己がそんな大層なものを書いている自信などないし、褒められたい、評価されたいと言える段階ですらないのもわかっているからだ。 「だったらさ、一応訊くだけ訊いてみるよ。お姉ちゃんが直接じゃなくても、なんか他にやり方知ってるかもしんないじゃん?」  明確に言葉にはしなかったものの、早織には穂香の内心は伝わったらしい。 「いやあ、『創作』できるってだけで尊敬するわ。あたし、人の創ってくれたもの楽しむしかできないもん。しかも高校生だからお金も落とせないし」 「それは私も同じ。ゲーム好きだけど、『ゲーム作ろう!』って方には行かないんだよね。そんな発想もなかった。穂香、すごいよ!」  大袈裟なくらいの親友の反応には照れるけれど、やはり嬉しかった。  ──うん。あたし、いつか小説家になれたらいいなあ。
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