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第三章
空風さんに「本部」を紹介されて自分が特殊詐欺グループに身を置いていることを知った。
本当はこの後に仕事があり、それでも俺は心ここにあらずと言った具合のまま業務を熟していたが、結局すぐにここを離れたくなって体調不良で早退させてもらった。
帰路に着くも、すぐに空風さんに紹介してもらったアパートに帰ることに躊躇いを感じ、深夜近くになるまでネカフェで時間を潰して気持ちを落ち着かせてから家路についた。
家に着くなり、椅子に腰かけ「どうすればよかったんだろう?」と、静まり返った空間で頭を抱える。
「新卒で受かった工場にいるように言われた母親のことを素直に聞いておけばよかったかのか?」しかし、あのまま働いていても下手をしたら俺は精神的に死んでいた可能性があるので、戻りたいとは断じて思わない。
ならば、今は「転職するしかない」と思うが、不思議と転職サイトにアクセスしなかった。
ずっとネカフェに入ってからもそうだった。SNSやゲーム、動画といったコンテンツには手を付け現実逃避はするものの、職探しと言う次の一歩を踏み出すアクションは起こせないでいた。
それはただ臆しているのとは少し違っていた。
彼が言ったように、学校と会社は違う。
俺にとって以前の会社に自由は無く、大したことをされない日々。まるで会社という大きな箱の中に閉じ込められ「これが当たり前」、「皆がやっている」という同調圧力の元「洗脳」される毎日。
そんな毎日を送っていたら自分が壊れてしまうという、ただならぬ危機感を覚えた。
だが、周りはそんなこと思っていないようだった。
俺は、社会不適合者なのだろうか・・・。
だからこそ転職しようにも、なんだか「他も同じ」ように思えてしまい、動き出せない。他の職についても結局はただ「ひたすら耐える日々」。そんな生活をイメージ出来てしまう。
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