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「化け物染みているというのは、いかほどなのかしら?」
Aさんが、変なところに食い付いた。
「俺は、両手の指が三本しかない。それに頭が大きくて顔も醜い」
「それなら私のほうが化け物染みているわ」
「ほお、俺よりも醜いというのか?」
「顔は美しいわ。でも、両足が無いの。上半身は人間そのものなのに、下半身が……。こんな姿ではあの人の前に出られないわ」
「Aさんも、Bさんも、その程度で自分のことを化け物だなんて言わないでください」
この話題に、Pさんも入ってきた。
「僕なんか、もはや生き物じゃないですから。名前も知らない木ですから!」
え! Pさんは木で出来てるって? 後半の言葉に、聞いたことあるリズムを乗せていたことも含め、僕は耳を疑った。
「それに、嘘を吐くと鼻が伸びるんですよ。はは」
「あら、それは可哀そうね。でも、私の下半身は魚だから、私のほうがインパクト強いと思うけど」
「インパクトなら俺のほうが強いぞ。なにせ妖怪人間だから」
いつのまにか、この部屋の会話は化け物自慢の話題になっていた。
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