ユリちゃん

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ユリちゃん

 ユリちゃん。僕の大好きなヒト。  ユリちゃんはまだ、僕のことを好きなのだろうか? 子供の頃は僕と良く遊んでくれた。どこへ行くも、いつも一緒だった。  ユリちゃんが大きくなるにつれ、だんだんと僕との時間が減った。ユリちゃも忙しそうだったし、仕方のないことだとは分かっていたけれど。  やっぱり淋しい。  ユリちゃんがいなくなってから二年が経つ。クッションに身体を預け横になるのはとても楽だ。最近の僕は、こうやって横になっていることが多い。  あまり動きたくないんだ。食欲も殆んど無い。どこに顔を向けても、僕の周りはぼんやりと白んで見える。目が変なんだ。  ユリちゃんは、たまに帰ってくる。  玄関からユリちゃんの声が聞こえた。 「ケンイチー、ケンイチいる?」  僕はここにいるよ。いつもの場所。  ユリちゃんが僕のそばに来てくれた。ぼやけて良く見えないけど僕は耳がいいんだ。ユリちゃんから二つの心音が聞こえる。 「ケンイチ、ちゃんとご飯食べてる? 食べなきゃだめだよ」  分かってる。そうしたいけど、とても疲れるんだ。 「また来るね」  そう言って、ユリちゃんは帰っていった。
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