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会いたい
この晩、僕は夢を見た。
初めてユリちゃんと出会った時のこと。握り締めた小さな指と、マシュマロのようにふわふわした頬が本当に可愛かった。
ユリちゃんが三歳になると、僕は良くおんぶをしてあげたね。落ちないようにしっかりと僕に掴まるユリちゃんは、何かが面白くていっぱい笑ってた。
高校生になっても、ユリちゃんと二人っきりでする秘密の散歩は、僕の楽しみだった。
ユリちゃんはあっという間に大人になった。
一緒に過ごす時間はあっという間に少なくなった。
最近のユリちゃんは、お仕事が忙しいみたいで帰りも遅い。
ユリちゃんにも都合があって仕方のないことだから、僕は我慢したよ。
ある日、ユリちゃんが教えてくれたんだ。結婚するって。
それを知ってすぐに、僕は人間になりたいと願った。人間になれば、ユリちゃんと本当の家族になれる。そう信じた。
でも、もう無理なんだ。身体に力が入らない。瞼も持ち上げられない。結局、どうやったら人間になれるのかさえ分からず終い。
ユリちゃん。
最後にもう一度、会いたいよ——。
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