ゆうちゃんはなんでもなれる

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 私は今、積み木だ。  フローリングの床に横向きに寝そべり、私の上をゆうちゃんが木製の積み木を積み上げている。  断じてお洒落ではなく太って露出した脇腹にゆうちゃんは器用に積み木を積んでいく。私は動かないように必死に体勢を維持する。  今、私は母と一緒に九州から関東に住む親戚の家に遊びに来ている。本当はそこから叔母と従姉と従姉の子どもーーゆうちゃんで何処かへ遊びに行く予定だったけれど、生憎の雨で出掛けられなくなってしまった。  でも、私にとってはこれでよかった。人混みは苦手だ。  それに、そもそも従姉の家自体に遊びに行く機会がそんなになかったので、これはこれで新鮮で面白かった。  母や叔母さんと従姉のみや姉さんは昼食の準備をしているが、私はゆうちゃんと遊んでいる。  いや、ゆうちゃんに遊んでもらっていると言った方が正しいのかもしれない。 「できたー! おしろー!」  ゆうちゃんなりに納得したものが出来たようで、声を弾ませる。  お城を作っていたのか。さしずめ私はお城の土台だろうか。  でも、私は出来上がったお城がよく見えない。少しでも動くと、お城は崩れしまいそうだ。
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