【第1章】ワタシがカンジた絶望

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学校の授業は殆ど嫌いだったけど、絵を描く時間だけは好きで、その時だけはやる気出してた。 だからなのか、他の科目と比べてそこだけは評価が高かった。 でも、先生には「もうちょっと写実的、リアルに描きましょう。」ってよく言われた。 そういや「写生」ってそういうものだったっけ? ワタシにとって現実とか、目の前に見える物ってつまんないから、そのまま描くって事の価値が理解できなかった。 そうするぐらいなら写真撮ればよくね? でもまあ、学校の授業は授業なんだから、そうしなさいってなってるんだろうね。 先生もその通りに指導するんだろうね、っていうのは理解できた。 だから、それはそれで仕方ないって割り切って、学校の休憩時間に、自由帳に自分が描きたい絵を好きなように描くようにしていた。 ある時、絵を描いていたらふと、少女漫画について1つ気になる疑問が湧き出てきた。 少女漫画の作品のほぼ全てに、なんか素敵っぽい男性が登場する。 そして好きだのなんだの言い始め、いわゆる「恋愛」に発展する。 読んでる時は、「はぁ~、そういうものなのかぁ~」ぐらいにしか思えなかったけれど、それを絵で描こうと挑戦してみた時に、感覚が掴めない。 なんとなく、今まで見てきた絵を真似して描いてみるけど、「何がドキドキやねん」と自分で思ってしまうし、「ワタシガカキタイノハコレジャナイ」って毎回感じてしまっていた。 そもそもそんな都合良く、「恋愛」なんてものが始まりますかねえ? もしそうなら、日本国の結婚率はもっと高いんじゃないですかねえ? なーんてひねくれた考えに至ってしまったワタシに、「その時」は意外に早く訪れた。
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