N極~Side:木下~

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「何もないよ。残業で疲れただけ。もうすぐ駅に着くから電話切るな。」 「お、おい。」 俺はこれ以上、悟られまいと急いで電話を切った。 「どんな顔して並木に会えばいいんだよ...」 俺は、羽鳥先輩の気持ちに全く気付いていなかった。 断ったけども、告白されたことを並木に伝えるべきだろうか? 俺は、ここが駅のホームであることも忘れて頭を抱えた。 結局、答えが出ないまま、自宅に到着した俺は、コンビニで買ってきたカップ麺にお湯を注いだ。 そして、冷蔵庫から缶ビールを1本取り出した。 俺は缶ビールをごくごくと飲み干した。 ひとりって、こんなに静かだっけ? 俺は無性に寂しくなって、テレビの電源をつけた。 トゥルルルルル… ちょうどその時、並木から電話がかかってきた。 俺は反射的に通話ボタンを押した。 「もしもし」 「木下、家着いたか?」 「うん。」 「今から飯か?」 「そう。」 「カップ麺食べるんだろ?」 その通りである。 「なんで分かるんだ?」 「木下のやることは分かる。」 さすが、並木。 「羽鳥先輩から聞いたよ。告白したって。」 「え!?」 「でも振られたって。」 「うん。」 「俺、言ってなかったけど、あの人の気持ちには前から気付いてたんだ。だから、木下が悩むことない。」 俺は並木の言葉に安堵した。 「なぁ、並木。」 「ん?」 「俺が好きなのは並木だけだよ。」 「そうじゃないと困る。」 「並木は俺の事好き?」 「愛してる。」 「今それ言うのずるい/」 並木の一言で俺の頬は赤く染まった。
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