S極~Side:並木~

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「何食べたい?」 「焼肉!!」 木下は即答した。 「いつもの所でいい?個室あるし。」 「うん、そこがいい。」 行きつけの焼肉屋は家の近くにある。 俺は店に予約の電話をした。 「19時なら席空いてるって。」 「ちょうど着く頃だな。腹減った。」 「俺も。」 俺の隣で笑う木下が愛おしい。 俺はこれからもこの笑顔を守りたい。 だからこそ、あえて俺からこの話題を切り出した。 「そういえば、羽鳥先輩に告白されたんだって?」 「なんでそれを!?」 「驚きすぎだ笑」 「だって、驚くだろ?」 「白鳥先輩が俺に連絡してきたんだよ。」 「そうだったのか...」 木下が俯いた。 「振られたことも聞いたよ。」 「うん。」 「ちゃんと断れて偉いじゃん。」 「だって、俺には並木がいるから。俺は並木しか好きじゃない/」 照れながら言う木下を俺は思わず抱き締めた。 「並木、ここ外/」 「知ってる。でも今だけ。」 「うん/」 「俺も木下だけが好きだよ。」 たった、数十秒。されど数十秒。 それは俺にとってのしあわせな時間。
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