S極~Side:並木~

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S極~Side:並木~

俺は夜の公園で、木下を抱き寄せた。 目の前を通ったカップルが俺たちの方をみて、何やらボソボソと話している。 男同士のカップルを受け入れられない人もいるだろう。 そんなこと百も承知だ。 だから、いちいち批判的な言葉を気にしていたらキリがない。 「言わせたい奴には言わせておけばいいよ。俺は誰に何を言われても平気だから。」 自然と俺の口から出た言葉。 俺はゲイではない。 ただ、木下だから好きなんだ。 木下じゃないと意味が無い。 人がひとを好きになって、想いが通じるなんて奇跡だと思う。 俺の場合、その相手が同性だった。 それを恥じることはない。 だから、俺から離れようとする木下の手を引き寄せた。 「並木は格好いいな。」 木下はよく言うけれど、俺にはその自覚はない。 当たり前のことをしているだけだ。 世の中のネガティブな感情は俺が全部受け止めるから、これからも俺の傍で木下には笑っていて欲しい。 これが俺の願いだ。
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