S極~Side:並木~

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「寒っ。」 「すっかり秋だな。」 「先週までは半袖着てたのに。」 「そろそろスーツも冬用にしないとな。」 「それなら、俺、今週クリーニング出しに行こうか?」 「おお、助かる。」 俺たちは他愛のない会話をしながら歩いた。 「鍋も食べたいなぁ。」 「今週末、作る?」 「並木のキムチ鍋食べたい!」 「木下がプレゼントしてくれた鍋が今年も活躍するな。」 俺は木下と過ごしたバレンタインデーを思い出していた。 まさか、鍋をプレゼントされるとは。 思わず笑ってしまったが、そんな所も木下らしくて大好きだ。 「並木、どうした?」 「思い出し笑いを、笑」 滅多に笑わなかった俺が、木下と居ると毎日のように笑っている。 全部木下のお陰。 「ありがとう。」 「なんだよ、急に。」 「言いたくなったから。」 「ふーん。」 といいながら、満更でもない木下の横顔を俺は眺めた。
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