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「木下、出れるか?」
「うん。」
俺は慌ててコートを羽織ると、並木が待つ玄関へと急いだ。
「ごめん、お待たせ。」
「待ってた。」
そういいながら、並木は微笑んだ。
その表情があまりにも格好よくて、俺は彼の顔を直視できなかった。
「朝からずるい/」
「なにがだよ笑」
「格好よくてずるい/」
「それで俺の顔みてくれないのか。」
並木の声がどことなく寂しそうに聞こえ、俺は思わず顔を上げた。
「んはっ、可愛いのな。」
並木は俺と目線を合わせて言った。
「可愛くない//先、行くからな/」
「おい、待ってたの俺だけど。」
「それはその……/」
「待ってた。木下と手繋ぎたくて。」
並木は玄関の鍵をかけると、早速、俺の手を握った。
「相変わらず、手冷たいな。」
「これがあるから大丈夫。」
俺はコートのポケットから黒い手袋を取りだした。
「並木がくれたやつ。」
俺は手袋をはめると、再び、並木の手を握った。
並木は俺の歩幅に合わせて歩いてくれる。
どんな時でも隣には彼が居る。
「並木、大好き。」
「俺も。」
「俺も何?」
「大好き。」
「……///」
「聞いてて照れるなよ。」
「だって、真顔で言うから/」
「言うだろ、本気なんだから。」
「ほら、また///」
「んはっ、可愛いねぇ。木下は。」
「うう……」
今日も並木の方が一枚上手のようだ。
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