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「さむっ」
俺は震えながら言った。
「もう12月だからな。今年もあっという間に終わりそうだ。」
「並木は正月帰省するのか?」
「いや、その予定は無い。木下は?」
「俺は1日くらい帰ってこいとは言われてる。」
俺は正直に答えた。
「それなら俺に遠慮せずに行ってこいよ。」
「うん…」
「どうした?」
「あのさ、母親がルームシェアでお世話になってるんだから並木もぜひ一緒にって言ってて……」
「うん。」
「って、言われても迷惑だよな。ごめん。この件は俺から断っておくから。」
「行く。」
「ん?」
「だから行く。行きたい。木下の家族のこと俺も知りたい。」
あまりにも真剣な顔で並木が言うので、俺は思わず頷いてしまった。
「なら決まり。日程は木下に任せる。」
「わかった。今日にでも実家に連絡してみるよ。」
「うん。」
俺は並木の横顔を覗き見た。
俺も並木のことをもっと知りたい。
そう思った朝だった。
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