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ディナーショーが始まると、心地よい歌声と共に豪華なコース料理が運ばれてきた。
俺は推しに見惚れている木下の隣で、絶品料理に舌鼓を打っていた。
俺以外の相手をうっとりと見つめている木下の横顔に、少しだけ嫉妬しながらも、俺は何事もなかったようにディナーショーが終わるまで紳士に振舞った。
そして、約3時間のディナーショーは盛況なうちに幕を閉じた。
「最高だった!!」
「それはよかった。」
「連れてきてくれてありがとう。」
木下は満面の笑みで俺に言った。
「どう致しまして。」
俺も木下に釣られ、笑みを浮かべながら答えた。
イベント会場を出ると、ホテルの外には、タクシーを待つ長蛇の列が出来ていた。
「タクシー並んでるなぁ。」
そう呟きながら、ホテルを出ようとする木下の腕を掴み、俺は言った。
「俺らはこっちな。」
「え?」
俺は何も知らない木下の手を握り、フロントへと向かった。
「いらっしゃいませ。」
「予約している並木です。」
「並木様ですね。本日はようこそお越しくださいました。」
俺はチェックインを済ませ、ルームキーを受け取った。
「木下、行くぞ。」
「う、うん。」
今夜はクリスマス。
楽しい夜にしようじゃないか。
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