S極~Side:並木~

6/7
171人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
「俺、考えてることがあってさ。」 「何?」 俺は心に秘めていた想いを、意を決して口に出した。 「俺たちパートナーシップの宣誓しないか?」 木下の返事を待っている時間がとてつもなく長く感じた。 なぜならこれは、俺が一生をかけたプロポーズだから。 「俺でいいのか?」 「木下がいい。」 「ありがとう、並木。」 俺は木下を抱き締めた。 「木下の家族に挨拶に行く時、俺から話していいかな?」 「俺も話す。俺、カミングアウトしてるけど家族の反応はなんとも言えなくて...並木に迷惑かけるかもしれない。」 木下は不安そうな表情を浮かべながら言った。 「覚悟の上だよ。俺、木下と離れる気ないから。」 「泣かせるなよ。」 「俺でよかっただろ?」 「並木じゃないと無理。愛してるよ。」 俺の胸に顔を埋めて泣いている木下の頭を優しく撫でた。 「俺も木下を愛してる。この先もずっと。」 俺たちは、互いの想いを確かめるように口づけを交わした。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!