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あるべき場所へ。
私はお婆さんに、「三味線を使う人で、もし欲しい人がいればスタンドを譲りたい」と、引き取り先を探す事への協力を頼んだ。
こんな不躾なお願いに対して、お婆さんは嫌な顔ひとつ見せることなく、
「そうね、どうせなら使ってくれる人の所へ渡してあげましょう」と、快諾してくれた。
実際に引き取り手が見つかるまでに数カ月かかったが、廻り巡って三味線教室を開いている方が「丁度三味線の置き場が足りなくて」と引き取りを承諾してくれた。
引き取り手が見つかるまでの間は、掃除道具入れとして使うことを止め、ついてしまった汚れはふき取り、大事に保管をした。
そのおかげか、彼女の姿を見たのはあの夜の一度きりだった。
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