一晩の演奏 2

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一晩の演奏 2

彼女は私の方を見る事はせず、俯き加減のままに、手に持つ楽器の弦を、ぱちん、ぱちんと弾いていた。その度、和風な音が耳に届く。 閑静な住宅街、生活音のなくなった静寂の中で、聞きなれない和楽器の音色はただ「きれい」だった。だからか、私は彼女に対して恐怖よりも、純粋な不思議さを感じていた。 音色に耳を傾けながら、何処か聞き覚えのあるソレがなんだったか考える。彼女が私に関心を持たないおかげで、冷静に記憶を辿ることが出来た。 えっと、確かこの音は……そうだ、テレビでやってた、芸者さんの特集か何かで見た事がある楽器…… そこまで思い至った時、彼女が何か言っている事に気付いた。
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