葉摘

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それから、葉摘とはちょくちょく会った。 …いや、僕が伝送路工事の説明でケーブルテレビの事務所に行くと葉摘が時々、コーヒーを出してくれた。 葉摘はいつも、綺麗な格好をしていた。 アナウンサーだし、いつ取材に行くかもわからないから、それに備えていたのだ。 僕はいつも会社の作業服をシャツの上に着てスラックスを履いていて。作業服には車の鍵を入れて歩いていた。 それがたまたま。 カチャン 「あの、鍵、落ちてましたよ?」 コーヒーを持って来てくれた葉摘の足元に落ちていて 「あ、すいません。」 拾って打ち合わせのテーブルの上に置いてくれた。 「いえいえ。」 葉摘がにっこり笑ってくれたのは、偶然だけど、僕には心を鷲掴みされたような感覚で。 「ありがとうございます。」 もっと話したいとそう思った。
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