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それから、僕たちは、少しだけ距離が近くなって。
ケーブルテレビで会うと、帰りがけには、入り口の自販機の前で少し話をするようになり。
コンビニでばったり会えば、肉まんを食べながら連絡先を交換し。
週末には、会津やいわきに遊びに行くようになり。
気がつけば。
週末の僕の車の助手席は、葉摘の指定席になった。
それから、
「葉摘、こんなに一緒にいたら僕、葉摘を好きになってしまうけど。」
信夫山の展望台に行った夜。
「…良いけど。全然。」
葉摘は付き合うとも付き合わないとも言わない返事をし。
「じゃあ、好きになるけど。後悔しない?」
そう聞けば、黙って頷いて。
「好きだよ。もう、遅いからね。」
僕が彼女の手を握ると、彼女が口を開いて
「渉のこと、私の方がずっと好きだけど。」
呼吸するくらい自然に言った。
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