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金属が擦れ合う音が聞こえた。暗い視界に幾つかの金属がのせられた台が確認できた。目が眩んだ。どうやら視点を合わせていた台の部分の照明が点灯したらしい。目が慣れると台の上に金属のトレイがあり、その上に幾つかの工具が確認できた。部屋にはいってきた人物は薄手の布手袋をつけていた。服装は何かビニールのカッパのような物を被っている。顔は目出し帽のようなもので隠されていて確認できない。
その人物は道具類の前を離れこちらへ向かってくる片手で採血台のような物をこちらに寄せてくる。キャスターが床板と擦れる音だけが聞こえた。目出し帽の人物はこちらに意識があることに気づいて立ち止まる。金属のトレイがある台の方へ戻ると薬ビンを台の中段あたりから取り出した。台は黒い布が掛けられていたが内側に物を置くことができるスペースがあるらしい。薬品をガーゼに染み込ませ、目出し帽の人物はこちらに向かってきた。男はこちらの鼻と口をガーゼで覆った。徐々に意識がまた遠退いていく。自分はこうして連れ去られたのだろうか。また頭が回らなくなってくる。採血台は身体の左側へ移動された。目出し帽の人物は拘束されている左腕の拘束を外した。どうやら結束バンドのようなもので椅子と括られていたらしい。
身体の自由が効かないまま左腕が採血台へマジックテープのバンドで拘束された。
目出し帽の人物はトレイのある台へ戻り、ペンチへ手を掛けた。
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