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「言ってる…意味が、全然…わからないんだけど」
あまりにも突拍子もない事続きでおかしくなったのか、こんな状況なのに口元が笑みの形になってしまう。
共有妻なんて言葉、今まで聞いた事ない。
すると肩を抱いていた犬塚がトン、とはじめの肩を押してきた。
ギシッとベッドが軋み、はじめの身体がマットレスに沈む。
「まぁそうだろうな。だから今から意味がわかるようにじっくり説明してやるよ」
犬塚はそう言うと、声を上げようと開いたはじめの口を唇で塞いできた。
「…っ、んんっ…!!」
抵抗する隙を一ミリも与えられることなく唇は丸ごと包み込まれ、あっという間に舌が潜り込んでくる。
その舌はゆっくりと口内をまさぐりながらはじめの舌に絡みついてきた。
ぬるりとした感触に一気に肌が粟立つ。
はじめは犬塚の服を掴むとなんとか引き剥がそうと試みた。
だが、肉厚な舌に粘膜を擦られる度に力が奪われていく。
そうだ。
犬塚は昔からキスがうまかった。
濃厚で巧みなキスに抵抗できたためしがないことを思い出す。
歯列をなぞられ、上顎を舐められ、時々舌を甘噛みされて。
口内をめちゃくちゃに犯されていると、不意にウエスト部分が緩められた。
犬塚が唇を離してくれないためなんとか視線だけ向けると、いつの間にか猿渡がそばにいて、はじめの服を脱がそうとしている。
「服が汚れると帰りが困るだろ?」
くい、と眼鏡のフレームを上げながら猿渡はしごく真面目な顔でそう言うと、はじめの返事も聞かずにデニムを下着ごと一気に剥ぎ取った。
「…っ、やっっ!!!」
さすがにそれには強い羞恥が働き、犬塚の唇から無理矢理逃れて下肢を隠そうとする。
しかし、その手を何者かが掴み頭の上に持っていかれた。
「はーい、バンザイして上も脱ごうね」
はじめの頭の上の方にいるらしい雉間がのんびりした口調で言う。
そして、スウェットはあっという間に頭から引き抜かれていった。
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