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昼白色の明るいライトに照らされた部屋に、はじめの裸体だけが鮮明に浮かび上がる。
激しい羞恥に襲われてなんとか逃れようともがいたが、三人の男に四肢を押さえつけられているためぴくりとも動かせない。
はじめは唯一動かせる口で非難の声を上げた。
「さっき何も要求しないって言ったのはウソだったわけ!?」
キッと男たちを睨みつけるが、誰にも効いていないらしい。
飄々とした態度で犬塚が返してきた。
「要求はしてない。これは夫夫がお互いに対する愛を確かめ合う素晴らしい行為だ」
「愛の営みとも言うな」
「え〜なんかそれちょっと古臭くないですか?」
猿渡が賛同し、雉間がのんきに突っ込みをいれる。
「夫夫って…さっきからわけのわからないこと言ってるけど、そもそも俺、結婚してるし旦那もいるんだけど!?」
はじめは最後の切り札を出した。
指輪を見ればわかるとは思うが、すでに人のものであることをハッキリ伝えれば元夫たちも手をひくはずだ。
だが、はじめの予想は瞬く間に覆された。
男たちは手をひくどころか、はじめの素肌にいっせいに触れてきたのだ。
「ちょっ…や、やめっ…」
焦りで汗ばむ肌のあちこちに、人の手の感触が這う。
首筋や肩、脇腹や腹部、太ももや足裏まで撫でまわされて、はじめはくすぐったさに身悶えた。
と同時に、忘れかけていた官能が身体の奥で目覚める気配を感じる。
ここ最近愛撫も雑な事務的なセックスをされているせいか、神経が妙に過敏になっているようだ。
「撫でてるだけなのに腰が揺れてるぞ。こうやって触られるの久しぶりなんだろ?」
鋭い観察眼の持ち主犬塚が指摘してきた。
自分では意識していなかったが、腰が強請るような動きをしてしまっていたらしい。
カッと顔が焼けるように熱くなる。
「ち、ちが…」
「まあ仕方ないよね。はじめの旦那、何もできないあげくセックスもひとりよがりなクズ男だし」
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