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工藤銀二の冷徹さ
俺は葉隠村でギャングの頭目を務めている。手下を使ってあらゆる悪行をしてきた。
東南アジアから輸入した非合法薬物を本物の尺玉とすり替えて、商店街まで届けた。見た目は尺玉と全く同じで検閲の目を誤魔化せるというわけだ。
そして手下の板倉が尺玉を盗めば俺は多額の金を掴むことができる。薬はいい。人々を奈落の底に落とす代わりにせっせと律儀に金を運んでくれる。
しかしまさか尺玉を盗む奴が現れるとは思わなかった。盗んだ奴は中身が非合法薬物だとは知らないはずだ。何のために盗んだのかわからない。
俺は尺玉を盗むように言って失敗した板倉を殺そうと思った。こんな簡単なこともできないような部下はいらない。俺が憤ると代わりに副村長が不正をしている証拠を盗むと言ってきた。
確かにそれを使って脅せばいくらかは金になる。しかし俺はその金よりも村に今後、薬を出回らせるために弱みの一つでも握っておくのは悪くないと思った。俺は板倉に今度失敗したら命はないと告げて実行させた。
しばらくして板倉と兄貴分が俺のもとにやってきた。不正な証拠をしっかり持っていた。副村長は村に渡る金を数千万ピンハネしていた。たかが数千万だが不正をしている事実は大きい。
板倉だけでなく兄貴分も板倉を殺さないように懇願してきた。俺は慈悲の心で殺さないでおいてやろうかと思った。俺は村役場に電話して副村長まで電話を取り次がせた。
そこで副村長が内部の人間によって告発されたことがわかった。これでは証拠の裏帳簿の意味がない。
俺はぶち切れて懐から拳銃を取り出して、板倉を殺す勢いだった。もうこんな奴が生きていることが不愉快だった。そこに全く知らない男の声が響いた。
「やめろーーー!」
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