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#2 否定から入るのはいまいちです。
まさみが突拍子が無いこと言い始めたら、できるだけその種を育てる。それが私たちの緩やかなルールだった。
そんなの無理に決まってるじゃん。来年は受験なんだよ。そもそもそんな資金どこにあるの?
誰かがふんわりした夢や、イメージを語り始める時に、すぐに現実方向から否定してマウントを取ろうとする子は私たちの周りにはいっぱいいる。
中間試験が終わった翌日から、期末試験の準備を始めるような子。や、それは別にいいか。
まさみと私は、そういった現実派の人たちからゆるやかに距離を取るようにして高校生活を送ってきた。お互いに面倒くさい相手から距離を取ろうと後ろ歩きをしていたら、背中がぶつかった。そんな感じで出会った。
だから今回も。
ねぇねぇ、政治家になるのはいいんだけど、どこの政党から出るの?自民とか立憲とか?
まさみの小鼻が広がる。女子高生の小鼻が「それを待っておったのじゃよ」と言わんばかりに。てか、小鼻って鼻のどこ?
「ふふふん。その前にだな、なおこよ。私たちが何を目指すのか。その方が重要ではないか?」
何か年老いたキャラが入ってますね。そのまま行くの?まぁいいけど。
何を目指すの?
「それはな、なおこ。この国の政治に今、一番欠けているものじゃよ。何だと思う?」
うわ、毎回この流れ。正直面倒くさい。
この国の政治に欠けているもの? 何か色々欠けているものはあると思うけど。なんかルールを勝手に変えちゃうとか、身内を贔屓しちゃう感じとか。
倫理のおじいさん先生が、すぐに脱線してぼやき始めるよね。
「真田先生な。私の師匠の」
え、サナディが師匠なの。これはちょっとまずいのでは。
「でさ、この国の政治に今、一番欠けてるものはさ」
あ、自分で軌道修正して、口調も元に戻りましたね。
「保守、だと思うんだ」
え、私ってそっち系の小説の登場人物だったの?
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