第五章 マテイ

16/18
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
『第五天 マテイ  五番目の天国では、燃え盛る巨大な火柱が揺れ動き、その先端は深淵になっていた。  燃える炎に縛り付けられた人々は、永遠の絶望を無言のまま受け入れる。そこは、天使の牢獄だった。  ある日、逃げ続ける瀬戸洋一は、天国に逃げ込んだ。  五番目の天国には、キイロイケモノが住んでいた。  そのケモノは、こう問うた。「汝は、逃げ続けることを、どう思う?」  瀬戸は、こう応えた。「俺は、間違ったことをしていない。追ってくるから、逃げているだけだ」  次の瞬間、瀬戸の口に、大量の水が流れ込んでいた。ケモノが、瀬戸の頭を、水の中に沈めたのだ。  ケモノは、こう言った。「汝に、天国は不釣り合いだ」  作 : 紅の殉教者』
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!