あのね

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ろくな装備も持たずに 『普通』の世界に放りこまれた君は 考えなしな人々からの無自覚な悪意に晒されて どれだけ傷ついてきたのかな 守れなくてごめんね むしろ向こう側に回ることの方が多かった ダメなお姉ちゃんでごめんね 大学生になった君は ついにママに反抗した 「どうして僕が耳が聞こえる人に 合わせなきゃいけないの」 「もう僕は喋らない。 もう僕は口を読まない。 耳が聞こえる人のやり方を 僕にもう押し付けないで」 それっきり君は 徹底して声を出さなくなったね 手話と文字だけで話すようになったね
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