(二)

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「……わ、私達はムンバイのゲストハウスに泊まっていました。あの日はオーストラリア人のジェニーの送別会を開いていたの。出席者はカナダ人のケイト、シンガポール人のピーター、スウェーデン人のエレン。イギリス人のカップル、エマとジム。そして、私の七人です」  六人の外見を詳しく話して、助け出された人物の写真と照らし合わせた。暴行を受けていたことがはっきりとわかるほど、全員が顔や体に大きな痣が残っている。   その上、写真では決してわからない性的な虐待も受けていたそうだ。 「だ、誰も話ができる状態ではないのですか? そんなにひどいことをされたってことなのでしょうか?」  目を覆いたくなるような姿を見て、瞼は苦い涙を止めることはできなかった。 「これはピーター……こっちはケイト。ジェ、ジェーンは……私がいた隣の部屋で、暴行を受けていたのよ! 今でもあの時の声が耳から離れない。それからエレン、そして……」  おかしい、何かが変だ!  送別会をしていたのは、私を含めて七人のはずなのに。  
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