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スウェ―デン人で開放的なエレンも大袈裟に笑い、シンガポールからきた陽気なピーターが茶目っ気たっぷりにジョークを披露した。
そしてイギリス人カップル、赤毛美人のエマと自称没落貴族の末裔ジムは、相変わらず気取った様子でビールを飲んでいる。
他愛もないお喋りと、異国情緒溢れるインド音楽に酔いしれた。楽しかった思い出に、スマートフォンやカメラのシャッターの音が小気味よく聞こえてくる。
「ジム、エマ! 嫌がらずに、たまには被写体になってよ。あなた達はここにいる誰よりも美しいんだから!」
何処までも写真嫌いを通すのか、ジムとエマはいつもレンズを避けていた。帰国するジェーンのスマートフォンの前だけでも、笑顔でいて欲しいのに。
「私を撮りたかったら、エージェントに許可を取ってからにしてよね」
本当にモデルをしているからか、それともイギリス人特有のジョークなのか。エマは頑なに写真を撮らせなかった。
「私以外の人達は旅を続けるみたいだから、移動するごとに連絡して頂戴ね。もちろん、エマもね。お願い」
旅の終わりを実感して、ジェーンは寂しそうに懇願していた。
「それじゃあ、もう一度。私達の出会いに乾杯!」
その晩は大いに盛り上がり、遅くまで騒いでいた。そう、騒いでいたはずだった。
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