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「ねえ、私の言葉がわかる?」
英語でそう尋ねてみた。ここがインドなら多少の英語でも十分通じるだろう。
「アイム、ア……*@#*%?!」
その後には何語かわからない言葉が続いた。どうやら彼らには英語は通じないようだ。背格好や声の調子から考えると、恐らく子供に違いない。
「そっちに行って良い?」
急に移動して怖がらせたくない。身ぶりを加え優しい口調で話しながら近づいていった。性別はわからないが、子供達が三人。
近づくと衣服は湿っていて、ぷうんとすえた臭いがした。この子達は私より長く、ここにいるようだった。
「大丈夫よ。何もしないから」
その時、またジェーンの声が響いた。この声の近さから、隣の部屋にいるのだろう。
「アァ、アァ……アアン!」
まるで絶頂を迎えたような、いや、いや、それはない。まるで断末魔を迎えたような叫び声だった。
「ここは何処なの? どうしてここに?」
そう問いかけても、六つの黒い瞳は恐怖に怯えるばかりだった。
「随分と怖い思いをしたのね、可愛そうに」
身を寄せ合い震えている子供達を、無意識にぎゅっと抱きしめた。言葉は通じないが、気持ちは通じたようだ。子供達は安心しきった様子で、私の体にしがみ付いてくる。
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