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(一)
私は夢を見ていたのかもしれない――次に目を覚ました時、前の景色とは一変し辺りは眩しいほどだった。
大きな窓からは燦々とした太陽の光が差し込み、高い天井にある豪華なシャンデリアが反射し輝いている。ベッドの脇には美しい花々が、高価そうなベネチアンガラスの花瓶に活けられている。
ここは天国?
もしかしたら、こっちが夢の世界かもしれない。そう思えるほど全てが光輝いている。その豪華絢爛な部屋の中で、私は縁取りにレースがついた白いナイトウェアに身を包み、天蓋付きの優雅なベッドに横たわっていた。
「い、痛っ」
起き上がろうと体を動かしても、どこもかしこも鉛のように重かった。頭は痛いし、顔にも少し違和感がある。無理に笑おうとしたが、頬がうまく動かない。
「やっと目を覚ましたね。大丈夫かい?」
頭上からハスキーな低音の声が、優しく尋ねた。
「まだ体が動かないようだね。屈強な男達にあれだけ殴られたら、仕方あるまい。手違いとは言え申し訳ないことをした。彼らに代わって私が謝罪する」
男達に殴られた?
どうりで体のあちこちが痛いわけだ。顔の違和感も同様に殴られたからだろう。しかし、手違いとは言え女性の顔を殴るとは。あの時、あの場所では何が起きていたのだろうか?
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