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君に出会って知ったこと
指を抜いたアナルの入り口は、ぱっくりと開いて、さっきのローションがトロトロっと流れ出てくる。黒い丸い先端が、ケツの穴にピタッと当てられた。
「なぁ柊介、もう絶対入るじゃないか、なんで焦らすんだよ」
「まだ駄目だよ。ゆっくりしてあげないと、亮介のここ、傷ついたら困るだろ? 」
散々弄ってくれたくせに、今更じゃないのかよ。涙が出てきそうだった。
亮介の気持ちなんか、解っているはずなのに、柊介は挿れるでもなく、ただ亮介を見下ろしていた。
普段は凄い甘えん坊のくせに、セックスになると豹変するのは、本当に困る。
「最初は、他の男とセックスしていたあんたに、凄い腹が立って、ちょっと意地悪したくて、滅茶苦茶にしたけど、でも俺、亮介さんと付き合っているつもりなんですよ」
ジキルとハイドとまでは言わないまでも、明らかな二重人格だった。
「俺は年下だし、貴方の仕事の手伝いすら、まともにできない。でも、俺のチンコで気持ち良いって、なってもらいたい————」
「————柊介」
近づいてくる柊介の唇は、艶やかな色と柔らかさとを併せ持った、極上品だ。
感度の鈍い、自称不感症の亮介にとって、柊介は心より先に、体が反応した。
小さい頃の想いを未だに持っていたあいつは、よく似ている(らしい)亮介に、関心を持っているけれど、でも人間なんて、偽物より本物の方が良いに決まっているだろう?
「付き合っている? 」
「うん」
「代替え品の割には、身体の相性が良かったからか? 」
亮介の自虐的なセリフに、スイッチが入りそうになる。
「代替え品? 」
低音のバリトンボイスに、怒りってファクターが付け加えられる。
「お前は、俺が適当に付き合っているって、思っているのか?ただ似ている。そんな理由でお前を抱いたとでも? 」
いつもよりも、遥かにゆっくり話す柊介に、ドエスらしさが滲み出た。
「俺は柊介に会って、人肌が気持ち良いものなんだって知った」
小さな声を震えさせながら、無意識に乳首を触る亮介が可愛くて、俺はさっきのバイブを、アナルに2センチほど埋め込むと、亮介の手首を掴み、頭の上で押さえつけた。
入り口で止まるそいつに、亮介は無意識に腰を振り始めた。
「アン——、なんでちょっとだけしか挿れてくれないの? 」
「指3本分なら、あのくらいしか入らないでしょ。まだ奥まで解(ほぐ)してないんだから、我儘言わないの」
亮介は泣きそうな顔で訴えた。
「ねぇ、人肌が気持ち良いって知ったのなんか、亮介だけじゃないよ」
優しいキスの雨が降る。
ねっとりと唇を押し、チュッチュッと音がする様に食むと、口を半開きにした亮介から唾液が流れていく。俺は、それがもったいなくて、流れ落ちるそれを、ジュルジュルっと吸い上げた。
半開きのままの口は、イヤイヤを繰り返し、羞恥からか、耳まで真っ赤に染まっていった。
人差し指で、乳首を爪弾く様に跳ね上げると、自分から胸を突き出してくる可愛い恋人に命令した。
「俺のも触って————」
喉が上下に嚥下し、ごくりと音がなったような気がする。片手では、到底収まりきらないペニスは、ついこの前まで、童貞だったとは思えないほど、いかつい顔をしていた。
「極悪だよ、大き過ぎてこんなの犯罪じゃないか」
そんなことを言われれば、泣かせたくなるのが人の性(さが)というものだ。
ペニスを亮介の口の近くに持っていき、無理やり唇を割って、先端を押し込んだ。
通常の人より、遥かに大きいだろう自覚のあるペニスは、口いっぱいに広がって、とても苦しそうだった。
「もっと奥まで、舐めてみて」
言われるがまま口を開くものの、大き過ぎて口も顎も痛い。涙目になりながら奉仕する顔を見て、中心部に血が集まっていった。
「気持ち良いよ。ほら、段々大きくなっていっているのがわかる? 」
わかる————って、ここからまだ大きくなるのかよ。
「無理、無理、こんなの入るわけが無いじゃないか! 」
「だから、俺のチンコを挿れる為に、ちょっとずつ拡張するんだろ? 」
恐怖と歓喜に翻弄される、亮介のキス待ち顔が、ほんとにかわいい。
「最初は指だった。三本ね————。次はこのアナルボール。で、次はちょっと太い、ディルド。足にくくりつける紐付きにしよう。お買い物とかの時に、お前の穴に挿れる為にね」
イヤらしい笑いに亮介のペニスがピクリと反応した。
「買い物の時に? 」
「そうだよ。いれながら歩くんだ」
「無理だって! 」
亮介の恐怖にひきつる顔が可愛い。自然に涙まで出てきちゃうの?
「大丈夫、ちょい太いって言ったでしょ」
まずは最終型の確認だ。
「これを舐めて一番大きくして、アナルボールを半分いれたまま、今日はまずゴックンから始めよう」
柊介の歪む口元から出る命令が、凌辱する様に亮介を捉える。その都度漏れる、愛しているという六文字に、ぞくぞくするほどの歓喜を覚えた。
「あっそうだ。ちょっと太いやつを入れる時に、ベルトで止めるから。これ邪魔だからそのつもりでね」
「えっ? 」
これ邪魔だから?そのつもりでね?
今柊介、下生えを摘まなかったか?
「——————————まさか————」
「あたり。つるっつるにしちゃいまーす」
「ほら、早く、奥まで咥えろ」
柊介はにやにや笑いながら亮介の顎を持った。
「あーん」
「んんん———————」
涙目の亮介が死ぬほど可愛い。
喉を犯すつもりで奥まで突っ込んだから、おぇっと嗚咽が漏れる。
口をすぼめて、一生懸命上下に扱く。扱いている間中、柊介の指が亮介の耳の中をさわさわっと触り、感覚が耳に集中してしまう。
「お口が疎かになっているよ」
意地悪く笑うなよ!ドエス!
「ひゃっひぇひゃい! 」
「ん?なんて? 」
口からデカマラをちゅるんっと出して叫んだ。
「疎かになんて、なってない!って言ってんの! 」
涙流して吠えている。そそるよ、亮介。
「誰がお口から、チンコ出して良いって言った? 」
アナルボールのスイッチを強に変えた。
「んひゃ————————————っ」
尻を揺らし叫ぶ亮介に満足し、可愛い唇に、自身の亀頭をあてがった。
亮介は上目遣いに見上げ、尻の蜜壺に填まっているアナルボールを落とさないように、体の中心を締め上げながら、唇の前にある柊介のペニスを裏スジから丁寧に舐めあげた。
「ん、上手。亮介、そのまま速くして」
大きくて、大変なのだろう。
眉間に皺を寄せ、苦しげに眉を下げながら,唾液をダラダラ漏らして、フェラチオする可愛い男は、無意識に右手で自身のチンコも扱いていた。
良い眺めだよ。
「ほら逝くよ、出る。全部飲んで————」
ぶるると、柊介が震える。あの逝きそうになる瞬間の、ぞくぞくする競りあがる感じが柊介を襲う。
頭をホールドしてチンコを押し込み、柊介は大量のザーメンを亮介の口の中に放出した。
一気に白濁とした、ねっとりした濃厚なものが、亮介の喉を襲った。
「げほっ」
「きちんと飲めよ。俺のだぞ」
喉が上下に嚥下する。
「うるさいなー、こんな奥に出されて飲まない方が逆に大変なんだよ! 」
柊介が言った。
「まずはミッション①クリアだな」
「なにがミッション①だ、馬鹿野郎! 」
「次は②」
ニヤニヤしている。
「待て、待て」
嫌な予感しかしない。
後ずさりする様に逃げる亮介に、柊介が逃がすかとばかり腕を掴んだ。
柊介が唇を舐めるその姿が、異様な色気で、亮介は心臓を鷲掴みにされた様な気分だった。
「さっ、お風呂場に行こうか? 」
「行かないし! 」
「ここで良いのか?せっかちだな」
どうやったらそう考えられるんだよ。
「剃らないったら、剃らないよ」
「やだなー、体を洗ってあげようとしただけなのに」
クスクス笑っている。
「絶対に嘘だ!嘘つくな」
からかう様な声で柊介が言う。
「ご要望には答えないとね」
伏し目がちに見下ろす、いやらしい目に捕らえられた亮介には、最終的にイエス以外の答えは無かった。
その目に捕らわれて、いったいどれだけの人間が逃げられるというのだろうと、亮介は思わずにはいられなかった。
予(あらかじ)め用意してあったのだろう。ベッドサイドから髭剃りカッターとムースを手にして、バリトンボイスが耳を直撃した。
「足を開け、亮介」
このむせ返るような甘い体臭、バリトンボイス、ケツの穴まで響くような五感を刺激するあいつの持ち物は、空港だったら絶対に引っかかる危険物。
危険物取扱者の試験なんて、俺はした事もないから、あいつが如何にやばい奴なのか気づくのが遅れた。
蛇に睨まれた蛙の様に、ただ言われたまま、足を開く。
無理矢理開かされるのは、そんなに屈辱的ではないんだ。
でも柊介はそれだけで許してはくれない。
「足を開いてお願いしてごらん」
「誰がするか」
亮介が舌打ちと同時に言い放つと、柊介は俺の下生えを掴みチンコを上向きにし、裏筋をツーっとなぞった。
「もう一回言おうか? 」
「うるさい」
ふーん、そう。なら、というとアナルボールの嵌った蜜壺に、さっき乳首にたらされた催淫剤の液体の注ぎ口が突っ込まれた。
「ひぃ———————————」
間髪入れず注入されたそれは、ひんやりと冷たく、この後にくる狂おしいほどの熱さは全く想像出来なかった。
「嫌だ、お願い。あれだけは嫌。掻き出して、柊介——————」
くすくすっと笑って皺をツンツン触っている。
「痒い、痒いんだよ。いい加減にしろよ」
「まだそんな口聞けるの? 」
柊介はベッドサイドに置いた、先ほどの催淫剤をもう一度手に取る。
徐(おもむろ)にキャップを外し、そのゆっくりの動作のまま、穴に注ぎ口があてがわれた。
ジュウ——————————。
ブチュチュ。
卑猥な音を立てて、穴の中に吸い込まれていく。
「ごめんなさい。言います。言うから」
「何を? 」
「剃って下さい。お願いします」
注ぎ口はまだ刺さっているものの、柊介は手を放してくれている。
俺は許された気になっていた。
「つるつるのおちんちんにして下さいだろ」
ドエスのスイッチの入った柊介には、絶好の獲物だ。
「なっ」
「ほら、早く言えって」
チューブに戻る手が、視線の端に移る。
「亮介、待って、つるつ……る……の、おちんちんに、して……下さ……い」
「もう一度、今度は自分で足を広げながら言って」
羞恥心で死にそうだ。
俺は言われたまま太股を抱きかかえ、チンコを柊介に晒した。
服従のポーズであった。
泣きたくなりながら、俺は必死に哀願したんだ。
「許して」
「じゃぁ剃っちゃおうか、してほしいんだもんね。しょうがない子だなぁ」
ジョリジョリとどんどん毛が無くなっていく。
最後の一か所を剃り終わると、柊介はヒリヒリしないようにと、クリームを塗ってくれた。
「痒くなってきている。柊介————言ったろ?掻き出して————」
太股を抱えたまま、おねだりのポーズで哀願してくる亮介に、柊介はニヤリと笑った。
可愛すぎてこんな事言うの申し訳ないんだけど、ごめんね。
「もう遅い」
亮介から帰ってきた言葉は、悪魔のセリフだった。
「なっ」
反論しようとした瞬間、ケツの中でドクンっと何かが跳ねた気がした。
「おっ来たかな」
何が。そう言いたかったのに、亮介にはもうきちんとした思考なんて働かない。
「ミッション②完了」
頭の中で気持ちいいが連呼している。
「さっミッション③突入しようか」
黒い玉の付いたバイブは、そのまま全部押し込まれた。
柊介は仰け反る俺を見下ろしながら、俺の口を目掛けて唾液を垂らす。
「ほら俺のなんだから全部飲み込まなきゃ駄目だろう? 」
尻の穴が、もうぐちょぐちょに濡れてきていて、今ならどんな太いものでも入りそうだ。
「2本刺しな」
言うより手が先に動いた。さっきのより少し太いディルドが一緒に押し込まれた。
「ン————————」
脚の間に入り込み、左右に一本ずつ持ち、抜き差しを繰り返す。
薬の影響か、滅茶苦茶に痒い。
「いい声で泣けよ。聞きてぇなぁ」
「そんなに責めないで。んは、駄目、なんかなんか来る—————————————————」
尖り切った乳首、ブンブンと揺れる完勃(かんだ)ちになったチンコに、徐々に口を近づけていく。
「逝きそうっ、逝かせてっ、逝かせて下さい」
肩が上下しながら、胸で呼吸を繰り返す。
チンコを擦り上げながら、蜜壺もガンガンに攻められていった。
「あ———————、んは——」
すごい勢いでチンコの先端から白濁としたものが飛んで行った。
「柊介、————好きだ」
最後だけほんの小さな声だったけれど、柊介には確かに、『好き』と言われたように、聞こえた。
綺麗に拭かれた身体は愛されている証拠。
昔読んだ小説の一説にそんな事が書かれてあった。
ピロートークもそこそこに、深い海の底に沈むように意識を手放した亮介は、夢と現実の狭間で、ゆらゆらとクラゲの様に浮遊していた。
身体を拭かれてる自分を外の世界からじっと見つめる一人の男。
あいつは誰だろう。
亮介はその男を知っている様でいて、また知らない様でもあった。
顔に飛び散った亮介自身の精液を、その男は舌で舐め上げる様に一つ一つ丁寧に拭き取り、脚や腹に塗りたくられたローションを、温かなタオルで丁寧に拭いていた。
いたずらっ子の様にも見える普段の柊介の手は、拭きながらも乳首を弄ぶのをやめない。
氷で感覚が無くなる程、いじめられた俺の乳首は、いつもより肥大していて端から見たらいやらしい事この上なかった。
綺麗に拭き終えた柊介は、亮介に白のシルクのシャツを着せ、普通より色白の亮介の肌は、全開のシャツの間からピンクに透けて見えた。
外から見ている亮介と、中にいる亮介が一つになろうと意識が戻ってきたその時、さっきまで感覚の無かった右乳首から、鈍い痛みが走った。
柊介の力で摘まみ上げられた丸い乳首は、楕円に歪み、拭かれて綺麗になったはずの身体から脂汗のようなものが噴き出てきた。
「ぎゃぁ———————————————」
一瞬で目が覚める。
ぞっとする程ジンジン痛むそこに、そっと視線を落とすと、俺の乳首には、指で引っ掛けられるほどの小さな赤い石が付いた輪っかが、貫通していた。
「冗談だろ?これ何だよ、柊介」
訳の分からないまま俺は柊介にしがみつくと、あいつはよりによって輪っかを引っ張りやがった。
「テメー何勝手な事、してんだよ! 」
柊介の手は輪っかにかけられたまま、さも当たり前のように言った。
「俺の物だろう?何の抗議だ? 」
「年下のくせしやがって」
「それは関係ない。事実は亮介が俺の物だというだけだ」
そこから手を離した俺のアフガンハウンドは、甘々のミルクコーヒーを二つ入れて帰ってきた。
「はい」
如何にも甘そうなその飲み物を、渋々口にしながら、俺は相当嫌そうな顔をしたのだろう。
あいつは笑って言いやがった。
「今は刺激物、ダメでしょう? 」
『ぶっっっ』ミルクコーヒーはベッドのシーツにシミを作り、布に染み込んだそれからは、頭が痛くなりそうな程の甘い匂いがした。
「汚いなー、折角綺麗にしてあげたのに」
「柊介のせいだろう」
タオルをよこせという俺に、既にアフガンハウンドと化したあいつは、ルンルンとバスルームに消えていった。
シッポ振ってんじゃねぇって。
着替え直した亮介は、ベッドからタオルケットをどけると、違和感のある尻をかばいながらそっと立ち上がった。
絹に擦れて感度が鋭敏になる乳首は、可愛がられた証であった。
これは何という、感情なんだろう。初めて知った不思議な感情を、ただ亮介はぼうっと見つめていた。
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