1話 遂に念願の転生

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1話 遂に念願の転生

俺は拝都 家雄 (ハイト イエオ)、 22歳。 どこにでもいるかもしれない、少し変わった普通の大学生だ。 大好物はプリン、ココア、オムライスetc…………。 そして何よりも好きなものがゲームである。 特にRPGが何よりも変え難い。 RPG、ロールプレイングゲーム。 俺は物心つく前からゲームで遊んできた。 その中でもRPGは、ありとあらゆる作品を嗜んできた。 俺の人生は決して良いものとは言えない。 恋人はおろか、友人もまともに居ない。 やりたいこともろくに無い。 そんな俺でもRPGに没入してる時は、なんとも言い知れない優越感に浸ることが出来るのだ。 一時期は勇者になりたくて、1人でよく勇者ごっこをしたものだった。 さすがに今ではそんな事はしないが、 だがやはり勇者になりたい、異世界に転生したい……。 などの幼稚な考えは捨てられなかった。 そして俺にとって、 喉から手が出る程のチャンスが訪れたのだ。 2076年7月某日、 その日は日差しが強く、 焼けるような暑い日だった。 俺はバーゲンマッツを買うために、 コンビニに向かっていた。 そしてスマホを眺めて信号が変わるのを、 ぼーっとしながら待っていた。 セミの騒がしい喧騒を、かき消すようにけたたましい音が鳴り響いた。 俺が即座に顔を上げた時、そこには眼前までに迫った、大型トラックが視界いっぱいに飛びこんできた。 俺はその時、 俺 (あっ終わった…。) それしか考えることしか出来なかった。 それほど一瞬の出来事であった。 ?? 「………えますか? ………の声が聞こえ…………ますか? 私の声が………ますか? 」 誰かが俺に語りかけているのか? 俺は一体どうなった? そうだ俺はトラックに跳ねられたはずだ。 でもなんだろ、何も見えない、何も感じない、痛みもない。 これは死後の世界なのか? ??「もしもーし聞こえてるの?? いい加減反応しなさいよー。」 心做しか頭に響いてる声がはっきりしてきた……… だけどこんなラフな話しかただったけな? それにしてもうるさいな、死んだなら静かに眠らせてくれよ………。 俺 「うるさいなぁ…。」 俺は遂、小声でそう呟いてしまった。 ??「あっいまうるさいって言った! ふーんいいのかなぁそんな事言って〜」 俺「あっごめんなさい、遂口に出してしまいました。 ははは、……それであなたは一体何者なのでしょうか? それにここは? 俺は多分死んだはずなんですが………。 」 ?? 「まぁいいわ、 今日はあなたにとっていい話を持ってきてあげたわ。感謝しなさい! 」 なんだろう、声しか聞こえないが、この声の主がドヤ顔してるのが容易く想像できる。 俺「いい話とはなんですか? 天国に行けるとか?」 ??「はぁ?ばっかじゃないの?天国??そんなものあるわけないじゃない。 普通死んだら死者の世界に行くのよ。 天国も地獄もないわ。 あんなもの人間が勝手に作られた幻想よ。 」 俺 「そうなのですね。 それで俺にとっていい話とは? 」 ??「全く、 面白くないわねあんた………。 まぁいいわ、 よく聞きなさい。 あんたは今2つの選択肢があるわ。 このまま死者の世界に行くか、 異世界に転生するか。 さぁ選びなさい! 」 は?俺の聞き間違いだろうか、今転生とか何とか言ったか? これは現実なのか? そんなことがあるのか!? アニメやゲームみたいなそんな展開が! 俺「まままま待ってください! 今転生と言ったのですか? そんな事が可能なのですか? 」 ??「ふふんいい食いつきね、 さすが私だわ………コホン、ええそうよあなたには今転生のチャンスがあるの、 さぁどうする? 」 もしそんなことが可能ならばぜひしてみたい! しかし、もう少し詳しく聞いてみた方が良いかもしれない。 まぁ悪い条件でも俺はきっと転生を選ぶだろう。 俺「そ、その話詳しく教えてください!」 ??「悪いけど詳しく説明してる暇はないの、 だから簡潔に説明するわ。 よく聞きなさい、 今別の世界で魔王が復活して人類と魔族の戦争が起きようとしてるの。 その世界に貴方を勇者として転生させる。そこで人類のために戦いなさい! そういう事よ分かった? さぁ決めなさい!」 なるほど、本当に簡潔だな、だがシンプルでわかりやすい。 正しくRPGの展開に似ている! 俺が望んだ道だ、迷う理由などない。 俺の答えはとうに決まっている。 俺「お願いします、俺を転生させてください! 」 ??「ふふっ、 そう言うと思ったわ! あら早速召喚の儀式が行われたみたい。 あぁそうそう、先に言っておくわ。 勇者とは言えあなたはあの世界の人間より多少強い程度、 レベルを上げて仲間を作って自分を高めなさい。 まぁあなたならその辺は飲み込み早そうね、 せいぜい死なないように頑張りなさいね。 あと最後に、 私からささやかなサプライズも用意してあるから、 楽しみにしてなさいね。 それじゃあ行ってらっしゃい〜。」 だんだん声が遠ざかって行き、遂に何も聞こえなくってしまった。 また無の空間に取り残されてしまった。 何も聞こえない、何も感じない、完全な虚無。 本当に俺は転生させて貰えたのだろうか………。 この無の時間がより一層の不安にさせられる。 ピコン 突然聞きなれた音と共に、見慣れたウィンドウが表示された。 俺「なんだこれ……ゲームによくあるウィンドウ? 名前を入力してください、だって? まるで本当にRPGみたいだな……。」 俺はRPGで遊ぶ時、名前が入力出来るやつは必ず使ってる名前がある。 チーフプリン、俺は入力を素早く終えて完了をした。 ウィンドウがこれまた聞きなれた音と共に、視界から消えていく。 そして真っ暗闇であった視界が突如、眩い光に包まれた。 いよいよ転生が、俺の新しい人生が、本物のRPが始まるのだろう! さぁこれから始まるんだ、俺のRPG!
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