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幼馴染の二人
「改めて……付き合ってくれ、ねりね!」
「……あ、当たり前じゃん」
私、坂口ねりねは幼馴染の加藤智也に告白された。
付き合って欲しいだなんて……そんなの、選択肢はイエスだけ。こんな私なんかで良いなら。沈黙をどうにか突き破りたくて、ふと呟く。
「……智也ってこんなに身長高かったっけ?」
「舐めんな。俺は高校生だぞ? 同い年だけど俺の方が一歩上、って証だなー」
「なっ、五十歩百歩だよ。対した変化なし!」
「わりーわりー。冗談だ」
一部が冗談だとしても智也の方が身長が高いのは本当。正直、ぐうの音も出ない。小学生の頃は私が智也を見下ろす立場だったのに。
「冗談……って、もう。昨日だって、変なタイミングで告白してくるしさ! もうちょっと相応しい場所があったでしょ」
「だから、改めてここで告白したんだよ。俺達にピッタリなスポットだろ? ……尚、帰り道で突如告白したというのは紛れもない事実である」
「急に話振ってくるんだもん!驚く以外のリアクションが無いって!」
「だよな。真剣な話をいきなりスタートするとか。昨日の俺、何してんだろ……」
「まぁ、そんなに気にしない!」
「そうだな。……ねりね」
「ん?」
「準備はできたか?」
私は静かに頷いた。
「じゃあ、行こうか」
「ん!」
私と智也は、静かに手を取り合う。そして、私達が歩むと決めた未来へ、一歩。踏み出した。
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