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スポットライトがその男に当てられた。真っ黒の髪はそれにすら透けず、藍色の目は眩しさから細められる。
そこに集まる人々は皆金を持て余した上級国民、…優生者達だ。
ノエル・アーサーは壇上、富と名声を持ち合わせた連中に物怖じすることなく堂々とそこに立つ。
下ろしたての礼服はその体にピッタリで、普段はあまり気にしない髪の毛も綺麗にセットされて、売り物としても十分な見栄えだろう。
「では、自分の価値をアピールしてください。」
競売人の女が張り付いた笑顔でノエルにマイクを渡しに来る。それを受け取って、抑揚のない声はハッキリこう言うのだ。
「俺は不死身だ。」と。
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