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源さんが止めるのも聞かず、まさ坊、イスの脚に紐を結わえて町へ出てまいりました。 がんがらごんがらげんがらぐんがら がんがらごんがらげんがらぐんがら イスを引きずる音に昼寝を邪魔されたのは、団子屋の縁台で横になっていた近所の遊び人、三吉でございました。 「(昼寝をしながら)わあ。うっさいわあ。わあ。うっさいわあ。がんがらごんがらげんがらぐんがら。わあ、うっさいわあ。なんや一体」 がんがらごんがらげんがらぐんがら がんがらごんがらげんがらぐんがら 「(がばっと起きて)うっさいゆうねん!われえ!何さらしとんじゃ!あ?あ。源さんとこのまさ坊やないかい。イス引きずっとったんか。何しとんのや、一体」 「えろうすまんな。おっちゃん。これは男の意地やねん」 「どしたん?あ?突き出てるのに突き出てないゆうて、そんで?あ。いろいろあって、散歩に連れてると、なある」 「男の意地やねん。イスを散歩さすねん」 「家のことなんか全く省みなかったあの源さんがなあ。まさ坊のためになあ」 「イスが歩くわけないやんな。おっちゃん」 「いや。そんなことないで」 「なんや」
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