0、出会い

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 互いにぎこちない自己紹介が終わると沈黙が流れた。先に口を開いたのは一哉さん。 「・・・えっと、何か聞きたいことがあればどうぞ」  聞きたいことはたくさんある。何から聞こう。 「えー、この家は一哉さん一人で暮らしているんですか?ご家族とかは」 「親はいない。ここは俺一人で住んでる」  ちょっと一哉さんの空気がピリッとした。これはあまり踏み込まない方がいいと判断した私は話題を変える。 「あ、あの。一哉さんは修理屋さんだと言ってましたけど、どんな物を修理しているんですか?」 「色々」 「えっと。色々、とは?」 「服、家具、その他諸々。直せる物ならなんでも」 「凄い。その修理屋では一哉さん一人で経営しているんですか?アルバイトとかは?」 「いない。けど、まあ、アルバイトはそろそろ欲しいとは思ってる。・・・修理の方も忙しくなってきてるし」  一哉さんが途中から私をチラチラと見ながら話している。もしかしたらと思い、私から提案する。 「もし、一哉さんがよければ私をアルバイトとして雇っていただけませんか?掃除とか得意な方なので」 「・・・いいんですか。では、よろしくお願いします」  こうして私は同居人兼アルバイトとしてお世話になることとなった。
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