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正座したままペットボトル片手に項垂れていると頭上から声がかかる。
「・・・久しぶりの日本だから暑さ忘れてたんだろ」
その言葉に固まる。何で外国から来たって分かったの。国内の旅行者かもしれないのに。
「何で海外からって分かったんですか」
呆然としながら聞くと彼は階段の方向を指差した。スーツケースが置いてある。
「スーツケースにシール、貼ってあるから」
「あ、そういうことですか。よく見てますね」
荷物を預ける際に貼られるシール。剥がす暇がなかったからそのままにしていた。
残していた半分の水も飲み干し落ち着くと、これからのことを考えてしまう。
とりあえず今はここを出よう。長時間いても迷惑だと思い私は立ち上がる。
「本当に色々とありがとうございました」
小銭入れを掴んだ瞬間、ほつれた部分から百円玉が二枚落ちた。
「あ、私の二百円!全財産!!」
そう叫びながら一枚はテーブルの上でバン!と手のひらで叩いて押さえた。だが、もう一枚はコロコロと転がり、追いかける暇なくタンスの裏に入っていった。
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