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人はショックを受けると固まると聞いたことがあるが、本当にそうなんだとこのとき知った。
「え」
声のした方を向くと、無表情なのだが彼の顔が少し引きつっている。・・・もしかして今の行動に引いてる?
さっきの行動を思い出し顔が熱くなる。イケメンの目の前で叫んでテーブルを思いっきり叩いてしまった。
「二百円が全財産?」
あ、そっちか。
「そうです。お金は向こうで思いっきり使ってしまって今は二百円しかないです。・・・でもこうなったのは自業自得なので」
私はスーツケースに視線を移す。
「しばらくは買った服とか売ってホテルで過ごそうかな〜と。いい場所探します」
そう言って笑う。上手く笑えているといいんだが。
「お騒がせしました。失礼します」
タンス裏の百円は諦め、小銭入れと百円玉一枚を持ち彼の横を通り過ぎようすると、彼が私の腕を掴む。
「何ですか?」
「あの、えっと」
「あ、もしかしてペットボトル代ですか?百円しか払えないんですけど」
「違う!そっちじゃない!」
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