第1話

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 それから約1ヶ月の月日が流れ、一華が杉雄に包丁を振るう少し前になった。この日もいつものように家事をこなした後、スーパーへ買い出しへ行った。しかし、いざ夕食を作り終えた後、杉雄が好きな銘柄のビールを切らしていたにも関わらず買い忘れていたことに気がついた。喜美恵に平謝りし、買い物用のくたびれたトートバッグを肩にかけ、近所のスーパーに買いに向かう。しかし目当てのビールは売り切れており、仕方なく少し離れた別のスーパーへ向かった。 「すみません、このビールって売ってますか?」  さっさと買い物を済ませるため、入ってすぐの棚で品出しをしていた黄色斑の眼鏡をかけた店員にビールの画像を見せ訊ねる。 「はい、売ってますよ。こちらですね。」 「ありがとうございます」  黄色眼鏡の店員は売場まで案内し、そのままレジ打ちまで済ませてくれた。そのお陰ですぐに店を出ることが出来た。急いで家に帰ろうと小走りで店を出る一華。すると逆に入店しようとしたであろう男にぶつかってしまった。 「あ、すみません! 急いでまして…」 「いやとんでもない、大丈夫ですよ。それより荷物が散らばってしまいましたね。拾いましょうか。」  ぶつかった時に2人とも鞄を落としてしまい、地面に互いの荷物が散乱している。一華は何度も謝罪をし、2人で手分けして散らばった荷物を拾い集めた。
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