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3ヶ月前____ 誰かの声が聞こえる。 優しく包み込むように僕の名前を呼ぶ声が 「…ま…ずま…東」 目を覚ますと僕の名前を呼んでいたその人は優しく微笑み 「おはよう、東」と言う。 「…はよう。魅波、…。」 橘 魅波、僕のふたつ年上の幼なじみで大学の先輩。 訳あって一緒に大学近くのアパートに住んでいる。 「コーヒー入れるけど、飲むか?」 いつもと変わらない暖かい声色で聞く。 コクリと頷くと僕の頭を優しく撫で微笑む。 「少し待ってて」 僕は、橘魅波が好きだった。 1ヶ月ほど前までの話だけど 彼への想いを自覚したのは中学生の時それから今に至るまで片想いをこじらせ続けて少し前に彼に恋人ができた。 向日葵のように笑う愛らしい人で 僕とは真逆の人だった。 (あぁ…もう、君のこと好きでいたらダメなんだな…) そう、思ってこの家を出ることを決めた。 「お待たせ、東いつも通り砂糖とミルク多めな♪」 色違いで買ったマグカップ。 僕が水色で君がオレンジ。 「ありがとう。」 魅波の入れたコーヒーはいつもと変わらずやさしい味がした。 「そういえば、昨日話の途中で寝ちゃったんだけどなんだった?」 コーヒーを一口、口に含むとそう聞いた。 「あぁ…。その…この家出ようと思ってるんだけど…。」 チラッと魅波の顔を見る。 魅波は表情一つ変えずに 「へぇー、いいんじゃない。」と一言そう言いそれ以上なにか言うことはなかった。 「僕の話はそれだけだから、バイト行ってくる」 そう言って僕は、残りのコーヒーを飲み終えると バイトに行く準備をするために立ち上がる。 「東」 魅波に呼ばれ返事をする 「ん、なに?」 「……。いつ家出るの?」 コーヒーカップを見つめたまま魅波はそう問いかける。 「まだ、決めてないけど…早めに次のとこ決めて出るよ。心配しないで」そう答え笑った。
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