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「決めたか?」
12月第二週の金曜日、中休みのこと、私が机でたけのこの里を頬張りながら推理小説を読んでると、やっぱりこの日も堂島くんが前の席からぬすっと立ち上がってやって来た。
休み時間たった10分しかないんだから正直鬱陶しい。鬱陶しいけれどキレたら何をしでかすか分からない彼にそんなことは言えない。
「決めたかって、何をですか?」
「ヤらせろって言っただろ」
嗚呼、それか。
「絶対にないですから」
「嘘付くなよ。本当はヤられたいんだろ?」
どう育ったら此処まで性格が腐るのか教えて欲しい。あなた終わってますねって本当は言いたいけど。
「おっ、たけのこの里、いっこ貰い」
たけのこの里を美味しそうに頬張る堂島くんの顔はいつもの尖った表情ではなくて、一つ見つけた私との共通点に、推理小説のなぞ解きに似た好奇心が芽生えてしまったのは否定できない。
ねえ、どうして私なの?
ヤりたいだけなら、もっと他に可愛い子いっぱいいるのに。
盗み見るようにして問い掛ける視線を投げた頃、次の授業が始めるチャイムが鳴って堂島くんは自分の席に戻って行った。
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